[002] be was were been
パソコンのディスプレイをただボォーッと眺める。時刻は11時ちょっと過ぎ。することがなくて、座っていた椅子を前後に体重をかけて、グラグラ傾ける。これって下手したら後ろにひっくり返るから、なんどもスピットに止めろって言われてんだけど、癖だからしょうがねーんだよな…。
ホントにすることがない。春先のこの時期は、学生からしてみれば拷問の期間だ。勉強しなきゃいけねーんだけど、生憎と、そういう気候じゃない。でも、ここで遊んでばかりだと、他のやつらに抜かされてしまう。ホントに、爽やかに欝になる季節だ。
俺は椅子をグラグラさせ続ける。本当は寝てもいいんだけれど、普段が2時とか3時だったから、きっとこの時間に布団に入っても寝付くには、かなりの時間が必要になるだろう。そうだと、そのための時間が無駄になる。だからいつも、眠くなったら布団に入ることにしている。
つまりこの時間、ホントに暇すぎる。
「あー…。こういうときにスピットのやつ、いねーし…。」
家に誰もいないことをいいことに、普段言えないことを口走る。
本心だ。今、無性にスピットに会いたい。会って何するってわけじゃないけど、とにかく、隣にあいつがいたらいいな…。いつも、いなくてもいいときにちゃっかり近くにいるのに、どうしてこういうときに限って、近くにいないのだろう…。つかえねー…。心の中で悪態をつく。でも自分も、他人のこと言えない。
「ん?…でも、これってもしかして、人肌恋しいってことなのか…?うわ、気持ちわるっ。」
俺がそういうこと考え始めるなんて、相当に病んでんな。…でも、スピットは隣にいて欲しい。こういう気持ちになったときは、いつも、近くにいたような、いなかったような…?どっちだったっけ?
俺は、片足を椅子に上げて、立てた膝に額を押し付けた。
寂しいって、こんな感じか…。スピットがずっと近くにいたから、全然感じなかった。…、だったらこれはあいつが原因か…。今度殴っておこう。
外で、ガツンとホイールのぶつかるような音がした。俺は耳を澄ます。
早く来い、スピット。