[010] break broke broken



「お前いつもジャングルジムの上にいて、何してんだ?」




 下からかけられた声に視線をおろせば、予想した通り橙色が見えて、俺は返事をしないで、空に目を戻した。何してるんだって…、別に今は何もしていない。ただ待っているだけだから、することもない。




「無視かよ、!」
「訊いてるよ…。面倒くさい奴だな。」




 チラリと見やれば、登って来る姿が見えた。俺と違って、実体があるってことを忘れてるのだろうか…。高校生にもなってひとりでジャングルジムに登るというのは、だいぶイタイ行為な気がしたけれど、それを訊ねれば、本人は気にするな。とさほど気にしてはいないらしい。
 それは頭の中が幼稚なのか、それとも…。




「ガキくせ。」
「ああ?!お前だって高校生だろ?」




 浮かんだ考えを払拭するようにそう言えば、案の定怒鳴り声が返って、…だから、そういう反抗態度がガキだって言うんだ。なんて、面倒くさくなるだけだから言わないが。




「だいたい、どうしてお前は公園なんだよ。その歳で公園って、おかしくないか?」
「俺のような存在の年齢を、見た目で判断すんのは、些か軽率すぎやしないか?」
「疑問を疑問で返すな。というかそれ、どういう意味だ?」




 意味が分からないといった風に、一護が俺を見る。話題を逸らそうとして、咄嗟に言ってしまったが、これはこれで厄介だ。さて、どうせつめいしようか…。俺が死んだのは、正確には18の頃だ。もしかしたら死んでいないのかもしれないけれど、すくなくともこの世界…BLEACHの世界にいつの間にかいたのは、その歳だ。




「一護は、俺が何歳に見える?」
「16、7か?」
「残念。確実にお前の父さんよりかは上だ。」
「…はあ?」




 いや、でも一心さんは死神だから違うのかもしれないけれど…。まあ、でも確実にあの人の見た目よりかは上だ。それよりも、高校2年に見間違えられた方が、腹が立つ。こいつの周りが濃いやつらばかりだから、そう思われるのも、仕方のないことなのかもしれないが…。
 こちらの世界に飛ばされた当時、俺は18だったけれど、驚いたことに尸魂界は尸魂界だったけれども、原作の始まるかなり昔の尸魂界だった。故に、単純計算で言うならば、俺の年齢は優に3桁に上っている。




「お前、何年高校生やってんだよ…。」
「さあな、気づいたらこうなってた。何で死んだのか、今じゃもう思い出せない。」
「……。」
「お前、なんて顔してんだよ。」




 黙りこんだ彼の表情が、あまりにも沈んでいて、何故だか思わず笑ってしまった。
 こいつは、自分のことのように、悲しんだりできるんだな…。俺にはもう、できそうもない。原作を読んでいた頃から、一護はお人好しなやつだと思っていたけれど、実際のこいつはかなり良いやつだ。だから俺も、犯そうと思った。原作の、流れを。




「別に、お前のためじゃねーよ、っ。」
「どもってるし。」
「っるせ!」




 照れたような一護の顔に、久しぶりに自分も笑った気がした。






(081007)