[055] make made made



「クリスマスだね。」
「そうだな。」
「サンタクロースだね。」
「……そうだな。」
「ねえ、プレ…」
「却下。」


 ソファの隣に座っているの表情が膨れっ面になる。ここまでのオーバーリアクションは逆にウザい。俺は、読んでいたスコアから一切目を離さずに、「プレゼントが欲しけりゃ、どっか他所当たれ」と適当に返す。


「えー、最後まで言ってないのにー…。いいじゃない、減るもんでもないし…。」
「残念ながら、時間は減る、金は減る、気力と体力とその他総合的に見て、俺にとって減らないものなんてないからな。」


 まあ、お前に取っちゃ、プラスマイナス0でラッキーなのかもしれねーけど、俺から見れば、全然。疲れるだけだ。


「それにお前、いつも俺から夕食かっぱらって行くくせに、この期に及んでまだそんなこと言えんのか?」
「違うよ!いつも夕食をせがんでんのはのだめちゃんだものね!あたし、この前、真に割り勘で奢ってやったものね!」
「割り勘だろ。調子に乗るな。」


 の腹に軽く一撃。あう、とか言う微妙なリアクションが帰ってくる。


「ねえ、息を吸うのと同時にやらなくてもよくない?」
「わりぃーな、今勉強中だ。」


 そう適当にあしらえば、隣の彼女はウゼーだとか、喋ってて勉強もくそもあるかー!とか、挙句、正々堂々勝負しろー!!とか訳の分からないことを言い始める。


「プレゼンツ!ギブ ミー プレゼンツ!」


 挙句、そう叫びながら、全身で俺にタックルを喰らわせてきた。なんだ、コイツ、仕返しのつもりか?!俺は、圧し掛かってくる彼女を脚で蹴って向こう側へ戻す。


「ええー?!そこ普通足で蹴る?!」
「ウルセー!何で、俺がテメーなんかにプレゼント贈らなければいけないんだ!しかも、プレゼンツって何だ!プレゼンツって!複数形じゃねーか!やるとしても、トだト!!」


 Presents(複数形) Present(原形).というより、何で英語なんだ?久しぶりに聞いたぞ英語。最初、俺が足でやってしまった所為で、物凄く口あんぐりな感じだった彼女の表情も、何故か次第に幸せそうな色に変化していく。
 きっと、こいつのことだから、今の俺の台詞から何か、利益になる単語で見つけたのだろう…。こういうところ、何故か目敏いからな…。


「え?!あげるとしたらプレゼントってことは、もしかしてホントにくれたりするわけ!?」


 子犬みたいに目をキラキラさせながら、マジで?!みたいな感じに覗き込んでくるの頭をスコアで殴る。


「お前が、試験でいい点数取れたら考えてやるよ。」


 少しの沈黙。


「あのー、すみません。それってクリスマス全く関係ない季節なんですけど…。」


 何だー?!ホントはくれる気なんてないんだろー!うゎー、真の馬鹿ー!無駄に希望抱いちゃったじゃねーかー!責任取れー!
 その声があんまりにも五月蝿いから、俺は、スコアを耳の高さまで持ち上げて、彼女のとの間にそれを挟む。少しだけ、音が遮断された。


「真のケチ!」


 とそれなりに強めで太股を蹴ってくる。あー、ウルセー…、ったく、仕方ねーなー…。


「あー、分かった。分かったから、その執拗な攻撃を止めろ。ケーキくらいなら焼いてやる。」
「え?ウソ、ホント!?マジで、本気で作ってくれんの?わーい!!」


 再びオーバーリアクション。まるで子供だな…、何て思いながら既に、頭の中を占めているのは、持っているスコアの内容ではなく、ケーキのレシピに摩り替わっていた。