急いでいた、それなりに。昨日は、翌日に大学の授業があることをすっかり忘れて、少しはしゃぎすぎてしまった。痛む頭を手で押さえつつ、眠らないように意識を固める。電車っていうのは、二日酔いの身体にはかなり辛い。うっかりしてると夢の中にすぐに引き込まれてしまう。そうでなくても、今はそれなりに急いでる身だ。ここで寝てしまっては、元も子もない。
だけど…。俺は見慣れた風景に視線を向ける。マンションの高い紫色。オフィスと思われるグレーの無機質。普通の民家の茶色い屋根。ごく一般的な町の風景。ボオーッとそれらを眺める。
最近、妙に眠りが深い。寝不足うんぬんに関係なく、一度寝るとなかなか目が覚めない。二度寝とかはまったくないが、一回の睡眠時間が半端じゃない。そんなに無理をしている覚えはなかった。
その思考に辿りつくのと、自分の瞼が落ちていることに気づいたのは、ほぼ同時で、ああ…また遅刻だ。なんてことを思いながら、俺は気持ちの良い温かさと揺れに、身を任せた。
次に目が覚めたときは、いったいどこにいるのやら…。それが少し楽しみでもあり、自業自得だとも思った。
(090111)