[029] fight fought fought



「球技大会ってさ…ダルいときは、とことんダルいと思わない?」




 が欠伸を噛み殺しながらそう言った。
 現在、体育館。夏が始まる直前のこの時期の体育館はある種の地獄で、なのにどうしてここにいるのかというと、彼女がぼやいたとおり、球技大会だからだ。生徒たちの声援やらぐだしゃべりやらが館内に充満していて、ある種、異様な雰囲気だ。




「あの、今、男子が試合中なんですけど…。」




 応援とか、しなくていいのか?裏にそんな意味を含めて訊ねたけれど、それは彼女にとってはあまり意味をなさないらしく、つまらないものはつまらないと言われた。ってこういうところ、妙にすっきりさっぱりしてるよね…。俺は、「はあ…。」と内心で溜め息をついた。




「いいよね、は。バスケは、トシが出てるし…。」
「あのさ、そういう恥ずかしいことをサラっと、言わないでくれる?っていうか、まさか、昨日あんなにハイテンションだったのは、もしかして総悟がスタメンだったから…?」




 おそるおそる、彼女の表情を伺えば、え?そうだけど、それがどうかしたの?なんて、返答。清々しすぎるその言葉に、ああ、もう。あなた、スゴすぎ…。




「男子ってさ、普段あんなに5歳児みたいに騒ぎまくってるのに、こういうときだけなんかカッコよく見えるんだよね。」




 凄い勢いでパスを回し合っている男子の試合を見ながら、「女子なんて、まるっきり変わらないのに、不公平だと思わない?」なんて最終的に、にとって球大というイベントはその程度らしい。
 俺はコートの中で動き回っているトシへと視線を移す。
 …否定は、しないけど…。なんだかなぁ。






(080907)