[031] fly flew flown
まず半分に折って、次は真ん中にできた折り目に沿って角を折り曲げていく…。
「…何作ってんの?」
図書室、机に向かって真剣に何かを作っているの手元を覗きこむ。
「ん?ああ、か…。」
今まで気付かなかったのか、目線を上げてやっとあたしに気付く。あれ?図書室ってかなり静かだから、あたしの足音も響いてるはずなんだけど、…そんなに真剣に作ってるってことなのかな…。
不思議な期待を抱いて、の次の台詞を待つ。
「紙飛行機。」
「………。」
なんて言うか、真剣に作ってるわりには、高校3年生が作るようなものじゃないと思うんだよね…。あたしの呆れた表情が分かったのか、「いや、ちょっと懐かしいな、ってさ…。」なんて微妙な言い訳を言う。
「いや、よくやるよね…。って。」
「いいじゃん、べつに。俺が何したって俺の自由なんだからさ…。よし、できた。」
そして、出来上がった紙飛行機を目の高さまで持ち上げて、形を整える。うん、良く飛びそう。って、手先は意外と器用なんだよね。何故か、字汚いけど…。
「見てて、紙飛行機には自信あるんだ。」
紙飛行機に自信あるって、お前どんだけ作ってんだよ…。と、ちょっと呆れながらも、廊下に出る彼女に続く。そして、何度か投げる感覚をとるような動きの彼女の手を目で追う。は紙飛行機を、まるで風に任せるかのように、スゥー、と投げる。いや、投げると言うよりも、風に乗せるような感じで、手から離す。そして、手から離れた紙飛行機は廊下を滑るように渡り、曲り角付近に軽い音をたてて着地する。
「おおー。」
「な?良く飛ぶだろ。」
あたしの感嘆の言葉に満面の笑みを浮かべる。なんか、って分かりやす。溢れそうになる笑い声をなんとなく抑えて、飛んで行った紙飛行機を取りに行く彼女の後姿を眺める。と、ここで曲り角の向こう側から総悟が現れる。服装は、道着。きっと、また内緒で部活を抜け出してきたんだろう。
「あ、総悟じゃん。ちょっと、そこの紙飛行機取ってくんない?」
たまたま、通りがかかっただけなのに、当然のようにものを頼むって、結構大胆だと思うんだよね…。なんて思ったけど、まあ、べつにどうだっていいけど…。と口には出さない。
の言葉を理解した総悟は、「ああ」呟いて、床に落ちている紙飛行機を拾い上げ、構える。あ、やっぱり、おっきーって格好いいな…。
「それじゃあ、いきやすぜィ。」
「ok」
そして総悟は、紙飛行機を力いっぱい投げる。余分な力がかかりすぎた紙飛行機は勢い良く床に墜落する。
「あ」
「あ」
「あああァァァ!!」
の悲痛な叫びが廊下に響く。