[047] lay laid laid
「最近暑くね?」
机にへばってて熱気で死にかけみたいなが、呻くようにそう呟いた。授業が始まる少し前の今の教室は、クーラーが完全に効いてないから、地獄みたいな暑さで支配されていて、じっとりと気持ちが悪い。俺は意識半分に彼女の言葉を頭に入れた。まあ当然だ。季節は既に、夏に片足を突っ込んでいる。日差しも明らかに鋭くなってきたし、湿度もグングン傾いている。じゃなくても、これには参る。俺も参った。少しでも暑さを紛らわすために下敷きをバタバタ扇ぐ。
「まあ、7月入ったからね…。」
「何で7月なくて存在してるんだろう…。なくなっちゃえばいいのに…。」
いやいや、流石にそれは言いすぎだろう。いくら何でも、それじゃあ夏を楽しみにしている人たちが可哀想だ。けれど、俺も完全には否定できなくて、「ははは」と乾いた笑いを零す。途端、前の総悟がグイと勢いよく椅子を引いて、抗議の声を上げた。沖田 総悟、夏を楽しみにしていた人たちのひとり。そう言えば、学生最後の夏をみんなで一緒に海行って過ごさねーかィ?とこの前誘われたのを思い出した。
「なんてこと言うんでィ!夏と言えば、学生が遊びまくる時期じゃねーかィ!」
「お前は常に遊び心たっぷりだがな。」
「うーん、確かに。」
無駄に盛大な音を立たせて机を叩き、豪語する総悟にすかさずトシの突っ込みが入った。息ぴったりだ。この熱気地獄の中でも普段どおりとは、いい仕事してるよこの人たち。頬杖をつて、どうやら俺の思考は…そうとう熱にやられてるらしい。
「なんでぃ、2人とも…特に。ひでーや。」
「えー、だって暑いものは暑いんだものー。」
「この教室、クーラーガンガンだけどね…。」
俺は鼻で笑うかのようにそう言った。設定温度24度。今は暑くて辛いかもしれないが、後々になってくるとこれが冗談抜きで頭痛の種になる。多分、その所為で…今の俺の台詞に不機嫌が混ざったんだろう。いや、そうじゃなくても暑さのお蔭で今の俺の気分は立派に不機嫌か…。ちなみに余談だが、下げたのは意外にも晋助だ。あいつはあれで、実はクラス一暑さに弱い。ちなみに今は以上に机に張り付いてて、もう死んでる。こちらの会話に参加する意思はないらしい。っていうか、気力がないんだろう。
「あー、アイス食べたくなってきたかも…。」
「かもぉ?」
が重い頭を上げて俺を見た。げぇ、なんだか嫌な予感がする…。反射的にトシの方を向けば、厄介事はごめんだ。とばかりにさっとわざとらしく反らされた。
は、薄情者…っ!
「もしかして、買って来い、とか言わないよね…?」
「あれ?ばっちりその通りだよ。やっぱり、パシリの素質あるんじゃない?」
「やったじゃねぇかィ。」
「よくねーよ!嬉しくねーから。行く気もねーから。」
「えー。」
「えー。」
「えー、とか言われても、行かないからな。トシもお前、何か言ってやれよ!」
「頑張れ、。」
「何でお前までボケるんだ!!」
って、聞いてないし…っ!何でこういうのばっかなんだよ、俺の周りは!!
無駄に絡みつき始めたを下敷きで振り払いつつ、俺は自分のヘタレ具合を呪いたくなった。早く稼動しろクーラー!そしてその冷気でこの湧いた考えも吹き飛ばしてくれ!
(090308)