[053] light lit lit
もう直ぐでチャイムが鳴る。やっぱりどうかと思ったけど、どうやら我慢の限界らしい。
「?もう直ぐ鳴るけど、どこ行くの?」
が不思議そうな表情で席を立った自分を見る。あたしは、それに苦しい笑顔を向けながら、「保健室、なんか調子悪くて…。」と答える。とても風邪とまでは言えない。何でって、彼女は優しいから、きっと心配する。なんとなく、それだけは嫌だった。これがだったらそうとも思わないんだから、ちょっと面白い。ここでやってチャイムが鳴る。あーあ、鳴っちゃった。これは早めに教室出ておいた方がいいな。そう思いながらも、不意に彼の机が目に入る。いつも空っぽ、高杉の席…。
「そうなの?無理しないでね。」
「うん。先生には多分すれ違うと思うけど、聞かれたら保健室だって言っておいて。」
頷いた彼女を見て、手を振って教室を後にする。案の定、廊下に出た瞬間に坂田先生に出くわした。まあ、これは予想の範疇。ちょっと調子が悪いんで保健室行ってきます。の定型句を言って、先生の「気ぃ付けろ。」の適当な台詞をお辞儀で受ける。なんだか、喋るのも億劫だ。喉よりも頭が正常に働いていない気がする…。
1階に降りる。やっぱり少しだけ寒い。1階だし仕方ないかな…。と思いつつ、身体を温めるために無意識的に腕をさする。
と、そこで、足音がひとつ。振り返る、そこに…。
「あれ?高杉じゃん。…こんな所で何やってるの?」
今日、見なかったから休みだと思った。だって、いつもいないから…。の問いに、一瞥彼女に向けてから、無表情で「保健室」と答える。なんだ、学校来てても授業には出ないんだ。思っていることが顔に出たのか、「お前は?」と返される。
「風邪かも。頭痛がね、止まらなくて…。」
そう言って、額に手を持っていく。うん、やっぱり少しだけ熱い気がする…。あれ?でも、何で刹那に言えなくて、高杉には普通に言えたのかな…。そう思ったけど、多分気まぐれだろうと判断して、保健室に行くまで分からないけどね。と付け加える。
あたしの、言葉に彼は「はあ?」と一言言って、額にある自分の手を退けて、掴んでいない方の手で額に触れる。
ああ、もうなんてことをしてくれるんだろう…。触れられている額が熱い。おさえられている手が熱い。これは彼に握られて熱が移っている所為じゃなくて…。
自分が訳もなく…。
「ああ、少しあるな…。」
そう呟いた気がするけど、正直、頭の半分が既に熱に犯されていて、霧がかかったかのように朦朧としていて、正直足元がフラフラしている状態だったから、上手く聞き取れなかった。
その後、額から手は外されてしまったけど、おさえられていた手はそのまま、握られる形になって、保健室、行くんだろ?の一言で引っ張られる。
なんなのだろう……