[063] ride rode ridden



「…何笑ってるんですかィ?」
「んえ?今笑ってる?」
「ええ、とても幸せそうに。」


 総悟の言葉で思考を元に戻す。ちょっと、いや、並みにヤバかった。いつものあいつは結構ヤバイけど、今の自分は、もしかしたらその、よりもヤバかった。…かもしれない。
 朝、駅のホーム、いつもは会わないはずなのに、何故か今日は総悟と一緒の電車になる。何かな、これは喜んでもいいのかな…。と、暢気なことを考えてた瞬間に、通勤ラッシュのサラリーマンの肩画に思いっきり押されて、つんのめるように電車の乗り込まされ、総悟と一緒に揉みくちゃにされる。まだ、「おはよう」の「お」の字も言ってないのに、ウゼーな、こいつら…。と思ったけど、押しつぶされて、無理やり乗り込んだこの状況は、隣に総悟が居るという、個人的にナイスな状況にあったから特にその辺は気にしない。
 それに、押しつぶされた後、総悟が隣にいると知った瞬間に目が合って、ちょっと無理矢理な笑みを向けられたから、きっと彼も同じことを考えているかもしれない。まあ、そういう云々な事情で今に至り、冒頭の会話がなされる。
 だって、しょうがないじゃん。総悟、近すぎ…。


「何ですかィ?そんなに今のこの状況が楽しんですかィ?」


 にしては珍しいですねィ。と含みのあるニヤッていう感じの笑みを自分に向け、そう言う総悟の言葉に答えようとして失敗する。電車のいきなりの揺れに身体がついていかず、バランスを崩す。心の中で悪態をつきつつも、やっぱり身体はどうにもならない。結局、そのまま自分の身体は…。
 …、こういう時って、「事故」って一言で済むのかな…。